気付いたら、勝手に足が動いて、走っていた。
なぜだか分からない……ただ嫌な予感がしたんだ。
ナズちゃんに限って、怖がるとか、そんなことはないと思う……けど、ナズちゃんが一人になったって聞いたとき、胸騒ぎがしたんだ。
俺は、周りのお化けには目もくれず、走って行った。
走っていくと、前に、うずくまっている人影が見える。よく見るとナズちゃんだった。
震えている……?
「ナズちゃん!
……泣いてるの? 」
なぜだか分からない……けど寂しそうな背中……泣いている気がした。
ナズちゃんは、振り返った。
「王子?
……泣いてない……よ」
「そっか」
なんとなくホッとした。
「なんで? 」
「なんとなく……そんな気がした」
「そっか。あたしが泣くわけないじゃん」
ナズちゃんは、笑った。しかし、なんとなく元気がないような気がした。
なんか、我慢してる?
俺が心配そうな顔をしていると……
「なんで、そんな顔してんだよ?
大丈夫だって!
……だけど、ありがとう」
ナズちゃんは、どことなく寂しそうに微笑んだ。