あたしは冷たくなった煉の手をとった


冷たいけど
動かないけど

その手は


大きくて

男らしくて


いつもあたしの頭を撫でてくれたときの


いつもあたしを力強く抱きしめてくれたときの



優しい、あたしの大好きな手だった。




「れ、ん・・・・・」




あたしは声を押し殺して泣いた。


どんなに泣いても煉は帰ってこない


だったら笑顔で送り出してあげようと


決めたはずなのに




笑顔でなんて


泣き虫なあたしには無理だった