「アレクサ帝国の貧困は深刻と聞いている。
それを何とかしようとブレイクが
皇室に巣食う大ネズミを排除するということか。」


「御意。」


クリスの話にジャンが頷く

「ですが
ジャン様。もしそうなってしまった場合
ユキノ様の救出はいかがしますか?

クーデターの混乱時に運よく宮殿に忍び込んだとして
ユキノ様がどこか別の場所に移されていたら
私達にはどうすることもできないし
時間がかかれば、それだけ兵士を危険にさらします。」


ポールの言葉に
そこにいる皆が押し黙った


重苦しい沈黙が
支配する中

ジャンがゆっくり口を開いた


「クリス様…。
しばらくお暇を頂いてもよろしいですか?」


突然の発言に
皆が驚きジャンを見つめる

だが
クリスだけはなぜか落ち着いていた


「…アレクサに侵入するつもりか?」


「…侵入とはお言葉が悪い。
ただ
クーデターとやらを今後の勉強も兼ねて
見学しようかと…?」


ジャンの意味深な微笑

帝国一の秀才で軍師と言われるジャン・カレハ
幼き頃よりクリスの傍に仕えていた彼が
初めて自分からその傍を離れたいと言った事に


クリスは
ジャンの知略を感じ取れた