近衛兵長官のポール
副長官のゴルチェはもちろん


クリス直属の兵隊の
小隊長たちも顔をそろえる


一人一人の顔を確認したところで
クリスは口を開いた


「今日ここに集まってもらった理由は
皆周知であろう。

愚かな話と思うなら
今すぐ出て行ってくれて構わない。

もちろん罪に問うつもりはない。

ただ
もし少しでも哀れに思うなら
力を貸してほしい。」

ゆっくり
クリスが視線を下げる


誇り高き風の民の子孫
優しさと慈愛に満ちた君主の
初めて見る弱い姿に
その場にいる全員が固唾をのんだ


「そんな事を言わないでください。」

沈黙を破ったのはポールだった


「俺たちはクリス様に命をかけて仕えると決めて
ここまで付いてきました。

クリス様はただ命令すればいいんですよ。
ここにいる誰もが
その一言で喜んで命を差し出すでしょう。」

ポールの眼には深い忠誠と
軍人としての誇りに満ちている


そしてそれは
他の小隊長たちも同じだった