動きやすい衣服に着替えたクリスを
ジャンは心配げな面持ちで見守っていた


ユキノ様が攫われてから一週間
クリス様は満足な睡眠を取れていはいない

常に不安定で
いつ…何があってもおかしくはない


異世界からの娘…
突然クリス様が連れて来た時には
厄介事が増えると懸念していたが

まさか
あの娘の存在がクリス様の中でここまで大きくなるとは…


「ジャン。
すぐに私兵を集めてくれ。」


「御意。」


クリスは執務室に入ると
木製の大きなデスクの上に
同じくらい大きな地図を広げた


それは
アルヴェス帝国とアレクサ帝国が記された
軍事用のものである



「失礼します。」

ジャンの声とともに
執務室に数人の軍人が入ってきた