「お待たせ♪」
私は、笑顔で言うと。
「遅い」
けんちゃんは、呆れ顔で言った。
「それより、遅刻するよ。はやく学校に行こうよ」
私は、けんちゃんの腕をひきながら駆け出した。
「遅刻しそうになるまで、寝坊したのは、誰だよ?」
けんちゃんは、私に言う。
「はやく起こさなかったのが、悪い」
私は、寝坊したことを認めなかった。
「それは、俺が悪いのか?」けんちゃんが、問い掛けると。
「うん」
笑いながら答えた。
「なんで、俺が悪くなるんだよ。それより、寝言で「約束だからね」って言ってたが、なんの夢見てたんだよ?」
呆れ顔から笑顔に変わり急にけんちゃんは、朝の夢の話を聞いてきた。

まさか、寝言を言ってたなんて思わなかった。
しかも、その夢があの時の約束の夢なんて言えないよ。

「さぁ〜、忘れちゃたぁ♪」
私は、とっさにごまかした。本当は、言いたかった。でも、言えない...けんちゃんは、きっと...もう私のこと好きじゃないから...。

そんなことを、思いながら通学路を2人で走った。