明らかに、呆れ顔で俺を見下す卓。
うん、今こいつは確実に、俺の事を下に見てる。
「はぁ…、いいか和彦。説明するぞ。」
いつも講義中寝てるような奴に、ため息交じりで講義される事になった。
掻い摘んで言うと、こういう事らしい。
『to be』ってのは、『~になる』って意味で、みんな実際にはなれないような職業に就くんだそうだ。
そんでもって、好きな仕事して、稼いだ金で、服とか家を買うんだと。
こっからが重要で、この世界で稼いだ金が、現実世界でも使える金と交換出来るって事だ。
仕組みとかは、難しくてわからん。
これにハマって、金つぎ込む奴とかが収入源らしいけど。
ついでに、良太が補足してくれた話だと、この現実みたいな世界は脳に直接コネクト?とかいうのをすると、こんな感じに体験出来るんだってさ。
何年も前から、こういうとこで恋人探しとか、そういうのがあったらしいけど、俺にMCを使いこなせとかいうのが、お門違いだわ。
なんとなく理解した…ような雰囲気を醸し出しつつ、俺は職業を決めることにした。
まぁいいや、金がもらえるならやってみるか、面倒ならやらなきゃいいんだろ?
「あー…、仕事。」
とはいえ…将来のビジョンが、まったく無い俺には何も思い浮かばない。
「やりたいこととか、なりたいもの無いんですか?」
「俺は格闘家だぞ!格闘家!!」
「なんだよ、格闘家って?それで飯食えんのか?」
「あ?あぁ、食えんのか?」
マジで考えないなこいつ…。
「んー、良太は医者だよな?かなり稼げんのか?」
「そんなでもないですよ?現実のお医者さんとは違いますから。この『to be』に、病気はありませんから、怪我をした人の治療くらいですから、思ったほど稼げません。その分、勉強は簡単でしたけどね。」
「は?勉強すんの?」
「はい、職業によっては、必要になってきます。」
「うわ、めんどくせぇ。なんか勉強無いやつがいいわ。」
「お前、勉強くらい我慢しろよな。」
「おめぇの格闘家だって、勉強ねぇだろうが?あぁ?!」