おのぼりさんみたいに、浮かれる俺たち…視線が痛い。
この『to be』ってのは、すごいんだな。
「あ、先輩。お待たせしました。」
「お、良太か。」
呼ばれて振りかえると、良太がいた。
さっき学食で見た時とは、服装が違う。
白衣だ。
医者がよく着るような、それだ。
「お前なんだ?その格好?」
「え?あぁ、僕の職業は医者なんです。」
「…医者?お前が?」
「説明は後です。まずは登録してください。」
「おぉ、登録だな?」
医者ねぇ…、俺たちの通う大学のレベルで医者になれるもんなのか?
見る物全て、驚かされる。
俺たちは、目の前の案内所みたいなところに来た。
「ここで登録してください。」
「おう。」
案内所には、綺麗に化粧した女がいた。
女は、丁寧な口調で俺に語りかける。
「インフォメーションカウンターへようこそ。本日はどういった御用件でしょうか?」
「あ、あぁ、登録してくれ。」
「…かしこまりました。どちらの登録をなさいますか?」
一瞬変な間を開けて、女が答えた。
どちらのって…。
女が差し出した紙…じゃねぇなプラカード?よくわかんねぇけど。
そのなんかには、なんとか登録って文字が箇条書きになっていた。
いきなり頭が痛くなってきた。
そういえば、まだ酒が抜けきってないな。
助けてくれと、視線で良太に訴えてみた。
俺は役所とか手続きってのが、きのこの次くらいに嫌いなんだ。
良太は、一番上の新規登録を指差した。