やべぇ…。

これ事故んじゃねぇの?


まだまだ滑走路は続いてるけど、今にも機体が暴れだしそうだ。

必死に制御してたら、スピードが落ちたせいか知らないが、安定してきた。


「だ、大丈夫そうですね。」

「…ん?あぁ、もう少し集中させてくれ。」

「え?そんなガチガチにならなくても、もう平気ですよ。」

「…ふぅ。もうすぐ格納庫だ。」


ノロノロと進むセスナ。

でも、必死な俺。


そういえば、後ろのば…お客様が、静かだな。


「おい、須藤…さん。お客さん静かだな…です。」

「…は!お、お客様?!」


慌てて客席に向かっていく須藤を横目に、俺はセスナを格納庫に…、ん?

これバックで入れるの?


俺は車の車庫入れが、三角関数と同じくらい苦手なんだ。

それなのに、セスナなんて無理。


「オ−ライ、オ−ライ。」


整備士みたいな奴が、誘導しだしたな。

仕方ない…、やるか。


「うおぉ…こえぇ。ぶつけたら、すまん須藤。」

「何が、済まないんですか?」

「うぉ!須藤!ビビらすな!」

「は?いいから、集中してください。」

「お、おぉ。」


集中と緊張で、須藤が戻って来たのに、全然気付かなかったわ。