実物を目の前にして、須藤と細かい最終確認をした。

ホントに、これ飛ばすのか…、信じらんねぇな。

操縦席に座って、計器をいじっていると、どこからか機械音がした。


「通信が、入ったみたいです。ヘッドセットを装着してください。」

「へ−い。」


ヘッドフォンみたいな物に、マイクがついてるヘッドセットを耳に当てた。

本物のパイロットみてぇだ。

すげぇ。


「もしもし?」

「もしもしじゃありません。こちらB-34土屋ですと言ってください。」

「え?あぁ…B-34土屋ですけど、なんすか?」

「…はぁ。」


須藤の深いため息を無視して、通信相手に集中する。


「こちら管制塔です。予約のお客様を乗せて、18番滑走路から、サンセット飛行場へ向かってください。お客様は、9番ラウンジに向かっていただいてます。」

「ラジャー。」


とか言うんだよな?

須藤を見ると、大きく頷いていた。


エンジンをかけ、ゆっくりと飛行場を進んで行く。

9番ラウンジとかいうところに着くと、セスナを降りるように言われた。

客を、セスナまで案内するんだと。

まだ来ない客を待つ、俺と須藤。