思ったより簡単に採用を決めた須藤は、カバンから薄い本を取り出した。


「え−、それでは、こちらの本に、簡単なセスナの操縦方法が書いてありますので、目を通して、しばらくお待ちください。」


本を手渡すと、須藤は出ていってしまった。

良太と顔を見合わせる。


「多分、契約の手続きとかに、行ってるんだと思いますよ。それより、今のうちに本読んだ方がいいですよ。」

「そうだな。」


難しいのは、苦手なんだけど仕方ないな。

まずパラパラめくってみる。

ホントに薄いんだな。

これなら、俺でも覚えられそうだ。


一通り簡単な操縦方法を頭にたたき込む。

計器の見かたとか、少し難しかったが、セスナを飛ばす程度の知識は身についた。

こんな簡単なら、セスナの免許とか取ろうかな?


「言っておきますけど、実際こんな簡単には操縦出来ないし、させてもらえませんからね。」

「お前、エスパーだったんだな?」

「…はぁ。」


良太に、問題を出してもらったりして、操縦方法を確認していると、須藤が戻ってきた。


「お待たせいたしました。どうですか?覚えられましたか?」

「おう、ばっちりだ。」

「それは良かった。では、簡単な手続きをします。社長の了承は得てるので、こちらに手を乗せてださい。」


今日、何度めかの装置に手を乗せた。