「……ごめんねっ!……ごめん、ごめんなさいっ!」
泣きながら謝る鈴。
綺麗な真っ黒の髪はあの頃と何も変わらなかった。
「鈴、いいの。もう、いいよ。」
ゆっくりと鈴から体を離す。
そして鈴と顔を合わせてニッコリと笑う。
「………ごめんね、ありがとう」
少しだけ切なさを残した笑みをあたしに向ける。鈴は昔から謝るときはこうやって謝っていたんだ。
昔と同じことを思い出して笑みが零れた。
「………夢羽、」
言いづらそうに、苦しむように歪んだ笑みをあたしに向けた。
「―――大丈夫。わかってるよ、」
___さっき触れたときに全部わかったよ。
貴方が何を思ってたのかも、
何を恨み、羨み、欲してきたのかも。
辛い過去を隠して笑うことがどんなに苦しいか嫌と言うほど味わっている貴方には言わせられないよ。
アイツが鈴にどんな仕打ちをして、鈴の母を切り捨てたのか。
そして………本当はアイツ、国王の娘ではないことも。
鈴の母が母様を貶めるために王の部屋に魔法をかけて王に抱かれているコトにして王の側近に抱かれ、産まれたのが鈴なんだ……。
「大丈夫、わかってるよ。」
頬に雫が零れ落ちる。
でも、あたしは鈴に向かって笑った。話さなくていいよ、って思いを込めて。