艶やかな夜が降りて、月が顔を出して数時間がたつころ、公務を持って夢羽の眠っている部屋へ足を進める。
夜も仕事をしなければいけない。
戦いの中に身を置くのはもううんざりだけど、公務に追われるのも少し嫌気がさしてきた。
たまにはまったりしたい。
そう言うと、海が怒るんだけど。
そんなことを思いながら扉を開ける。
この城の扉はでかすぎだろ。
新しく立てたいや、建てられた城は民全員が関わった仕事。
この国の平和の象徴だから。とか何とか言って勝手に建てられて使ってください。と言われて住んでるんだったっけ?
クスリ、と笑みが漏れる。
まぁ、夢羽のおかげだけど。
毎日送られてくる感謝の言葉や品々は、全ていやほとんど夢羽宛。
食べ物はさすがに、みんなで食べてるけど。
手紙や、モノは大切に保管してある。
部屋に入った瞬間。風が吹いていた。
窓を閉めろ、って言ってたのに。
世話係に、もう一度言っておこう。
そう、思ったとき月の光を浴びて佇んでいる1人の少女が目に入る。
「----っ!!」
俺は持っていた資料を投げ出して走り出す。
そして、テラスで城下を眺めている少女を後ろから抱きしめる。
「・・・!」
ピクリ、と動く腕の中の少女。この時をどれほど待っていたのだろう。
「___夢羽」
クルリ、とこちらを向かせて銀に煌めく瞳を覗き込む。