トクン、トクン・・・


心臓が心地よい速さで脈打つ。



「ね・・・そら・・・?」

「ん?」

「このまま、ずっとこうしていたいよ・・・。」


恐怖も焦りも不安もない。



けど___




穏やかなこの時間を
大切な人が隣にいるという時間を






手放したくないだけなの_____。






「・・そうだね。俺もこのままがいいな。」


あたしの頭に添えられている手がゆっくり動く。



「・・・・・」


穏やかで優しい風が吹く。







決して、怖気づいた訳じゃない。





でもね。もし、こんな時間がなくなったら・・・。って思っちゃう。








無意識のうちに空の服を掴んで腕にしがみついていた。



「・・・夢羽、大丈夫だよ。大丈夫だから。」


そんなあたしに嫌がる顔もせず、ふんわりと抱きしめられる。