もう、耐えられない。
ここに、いたくない。


「・・・闇壁」


唱えたと同時に黒い、闇色の壁が現れる。


「鈴!!」


あたしの名前なんか呼ばないで。



「・・・もう、顔もみたくない。」



走り出す前に呟いた言葉に、貴方は哀しそうな顔をして。



「鈴っ!!!待てっ・・・!」


あたしを繋ぎとめようとする。








___もう、苦しいよ。





あたしは、走り出した。
夜空に向かって。




大きな満月に手を伸ばす。
キラキラと輝く月は太陽の光を反射して輝いている。




夜空に散らばる幾万の星は、あたしに微笑みかけて、
藍色に染まる風は、あたしに優しく囁いて、

月はあたしを、優しい光で照らす。





テラスから飛び降り真っ直ぐ落ちていく。


静かな夜。
あたしは不思議と怖さを感じない。



___死んで尚、罰を受けるのは辛いけれど。生きるのはもっと苦しくて。




貴方があたしの死を聞いて泣いてくれるなら、それでいい。
悲しんでくれるなら、



幾らでも罪を受け入れる。