「それに…ありがと。
 いくら言っても
 言いたりないくらいに」


律は笑って言う。


「まぁそのうち
 倍返ししてもらうからな。
 覚悟しとけよー」


そのうち、ね。

私に未来があるのなら。

律はそっと
私の目を伏せて、
優しくキスをくれた。





気がつくと
部屋いっぱいに
朝日が差していて、

律は
ベッドの隣に置かれた
小さなソファーで
静かに寝息を立てていた。


「…りつ…」


名前を呼ぶ。

きっとまだ夢の中。

この時間が、
しあわせだな…。


そこに、廊下から
足音が聞こえてくる。

吉岡先生だ。

足音で誰だか
わかるようになってきた。

…あれ?

今日は1人じゃない。


顔をのぞかせたのは、
やっぱり吉岡先生。

そして…


「さ、さわだセンセー!?」


突然跳び起きた律。

え、知り合い??