「崎野さん。
挨拶を。」

先生に
そう促され
改めて 教室を
見渡す。


こんな 広かったっけ。

教壇から
眺めることなんて
そうそう なかったから
そう 思うのかな。


「柚夏ちゃん?」

小声で 先生に
そう尋ねられる。

先生の 方を向き
一瞬 微笑んでから
クラスのみんなを
見渡す。


『堅苦しい挨拶とか
イヤだから…
かるく
聞いてください。』


かるく 会釈を
してから
挨拶を 続ける。


『私、
病気らしいです。』

苦笑しながら
そう 言う。

『ALS。
それが 私の
病気です。』

言いながら
思い出すのは

遼先生に
病気の ことを
教えてもらった時の事。


『たくさん
泣きました。


最初は
実感なくて。

でも
症状とか 出始めて。』



神様も
たくさん 恨んだ。


なんで 私なの?って。