「ゆずかっ!」

学校の前で
車を 降り
車椅子に
乗せてもらって
すぐに
私に 抱き着いてきたのは咲。



目は真っ赤で

泣き腫らした あと。


「おはょ!」

私に
抱き着いたまま
咲に 挨拶される。

元気に 振る舞って
くれてるけど
鼻声で
さっきまで
泣いてたこと
ぐらい わかる。

『おはよ♪』

私のために
泣いてくれてたって。

言われなくても
分かって…

“ありがと”って

“ごめんね”って

言いたかったけど
明るく
無理してくれてる
咲を見ると
言えなくて

“おはよ”って
何も気づいてない
ように
挨拶の 返事をした。