「誰と来たの?」
「え?」
一瞬、秀くんの顔が固まったような気がした。
「前の彼女だ?」
「…うん。でも、中学の時の話だけどね」
ああ……聞きたくなかった。
自分で聞いたくせに。
「…そうなんだ。青春だねっ!」
私は思いっきり笑顔でそう言って、思わず秀くんに背を向けた。
やっぱり前の彼女と一緒に水族館に来たんだ。
でもそんなの、水族館くらい行くじゃん。
今までに彼女がいることだって、普通のことだし、
私だって、中学の時に付き合ってる男の子がいたんだし、
今更焼もち妬くなんて馬鹿げてる。
渡り廊下で女の子助けてるの見るだけで嫉妬するなんて、馬鹿げてるよね?
私…。
でも、自分をコントロールできない。
だって、独り占めしたいんだもん。
秀くんは私だけの彼氏だもん。