「いやーーーっ!!!」

寝坊した!!

何で?目覚まし鳴らなかったの!?


今日は秀くんと水族館デートなのに…!


慌しく準備して、家を出て、待ち合わせ場所に着く頃には、

待ち合わせ時間を四十分も過ぎていた。


「秀くんっ!!ごめん!!すごい待ったよね?」

「いや、全然?」


嘘だー。

秀くんのことだから待ち合わせ時間の十五分前には来てたって!


どうしよう。


「…ほんとごめんね」

「謝るなって。さ、行こっ!」


秀くんは笑って入り口を指した。


あー優しい。

なんて優しいんだろう。秀くんは。



でもこういう時、また私は不安になるんだよ。

ここで「遅い!飯奢れよな!」くらい言ってくれた方がどんなに気が楽か…。


私は後ろめたい気持ちで、秀くんの後に続いた。