優也くんの後ろ姿を
小さくなるまでずっと見ていた私。
優也くんの姿が見えずらくなってきた所で
涙が再び零れだした。
涙と一緒に、溜め込んでいた感情も
一気に溢れ出る。

「やだ……行かないでよ…!まだ好きなことも言ってないのにぃ…うわあああぁぁぁん!!」

私は泣きながら地面に崩れ落ちた。
すると、すぐ後ろの桜の木が
風も吹いていないのに
ほんの少し、ささっと音を発した。
私は思わず振り向き
優也くんのある言葉を思い出した。

『桜の木に毎日お願いしたら、また会えるかもな…!』

きっと優也くんは
テキトーにそう言ったんだと思うけど…


「桜の木さん…協力してくれる?」

またささっと小さな音を発した桜の木。
まるで「協力してあげる。」
って言ってくれてるみたいで
私は心が少しだけ軽くなった。

「決めたっ!今日から毎日、桜の木さんにお願いし続けてみるっ!!」




これが、すべての始まりだった。