冷めたコーヒーを飲みながら、二人のやり取りを聞いていた。

……まぁ、いいか。

美波が何も言わないのなら、俺が聞く必要もない。

それにこの野口『君』には感謝??しているし。

いや、感謝というか…。

彼の出現で、自分の気持ちをきちんと伝えようと決心がついたのだから。

今まで一年間も曖昧に続けてきた、美波との関係に。

ホントは怖くて、ずっと言い出せずにいた。

正直に気持ちを伝えたら、美波が俺の前からいなくなってしまいそうで。

でも初めて美波の口から出た男の名前に、余裕なんてなくなってしまった。

――美波を取られる。

そんな風に感じた。