「そうですねー。」

過去を思い返すように目を細め、

「真面目で一生懸命でしたよ。」

自信を持って俺に言う。

「人気者でした。」

あぁ、そうか。

「ちょっと止めて下さいよ野口先輩!!
そんな事なかったです!!」

必要以上に首を振る美波。

「美波が気付いてなかっただけだよ。
部員はみんな狙ってたんだぞ。」

野口『君』は美波が好きなんだ。

嘘です嘘ですを繰り返す美波を軽く無視して、俺はまた聞く。

「じゃあ彼氏とか、いたんですか??」

美波に聞くより、きっと彼の方が正確に答えをくれるだろう。

野口『君』は美波に一度視線を落とし、静かに笑った。

「それは…本人に聞いて下さい。」

……そうきたか。