マンションの前で、一度野口先輩はタクシーから降りる。
「ありがとう御座いました。
それとご馳走さまでした。」
じゃあ、またなと野口先輩は笑顔のまま、またタクシーに乗り込んだ。
階段を上がり、自分の部屋を目指す。
エレベーターもあるが、遅い時間だとかえって密室で怖かったりもする。
このマンションは玄関ドアの向かい側、道路に面した壁が1メートル30センチ位までしかなく、各階その壁半分から上が外に通じていた。
つまり、何かあって大声を出したら通行人に聞こえる状態にある。
遅い時間、私は階段を使うようにしている。
…私の部屋の前に人影があった。
そこにいたのは想像もつかない人物。
「ど、どうしたんで――。」
「誰??
アイツ誰?」
朝、見た時と同じ格好の………瀬戸さんがいた。
‥