「好きな子はいる…いや、いたんだけどね。」

「過去形ですか?」

「ん…まだ、気持ち伝えてないし。」

そうなんだ。

恥ずかしそうに笑う顔が、窓から差し込む街頭が時々照らす。

「きちんと伝えた方がいいですよ。
もしフラれても。」

「オイ!俺がフラれる前提かよ。」

大きな体が小さくなった。

でもすぐに腕を組み、悩み始めた。

「そうだよな。
みすみすチャンスを逃す事もないよな。」

「そうですよ!!」

酔った勢いで、訳もわからず応援する。

「今までは、会社を軌道に乗せることばかり考えてたけど。
このチャンスを逃がしたら、勿体ないよな。
もの凄い偶然が重なって会え―――。」