シャワーから出た私の横に座り直す瀬戸(せと)さん。

「美波も飲む?」

片手にはまだ開けられていない缶ビールがあった。

「あ、ありがとうございます。」

こんな気配りも出来る人。

そしてプルタブを勢いよく開けてくれた。

「明日さ。」

手渡された缶ビールに口をつけた時、瀬戸さんが私を見る。

「仕事終わってから、映画でも行かない?」

まだ濡れている私の髪を、瀬戸さんの長い指がもて遊ぶ。

上半身裸のままソファーの上で、体を私の方に向けた。

「でも…。」

誰かに会ったら困りますよね、そう言おうとしたのに、今度はその手が頬を撫でた。