三杯目のジョッキを口にした時、野口先輩が私の顔を覗き込む。

「ホントに酒、強いな。」

このお店はお酒も料理も楽しめる。

「そうですか?」

昔話や野口先輩の仕事の話しに時間はあっという間に過ぎていく。

「寛志(かんじ)からは聞いてたけど。」

その名前は…。

心臓がコトン、と鳴った。

私が付き合っていた、元カレの名前。

少しの沈黙の後に、野口先輩が言った。

「本当アイツ、馬鹿だよな。」

やっぱり、野口先輩は知ってるんだ。

予想は確信となった。