夏休みに海の家でアルバイト。
オーナーは今年28歳の従兄。
顔だけでここは繁盛している。


「ねぇ、カイ君。
 とうもろこしだけ売る
 海の家っておかしくね?」


「おかしいと思ってるお前がおかしい。」


「え?俺がおかしいの?
 ふつう、海の家ってさ、
 宿とか、かき氷とか、
 もっと何でもやるんじゃない?」


「ふーん。じゃあ、リク!
 お前がやってよ〜
 俺、不器用なんだよね」


「面倒くさいだけだろっ!
 男の不器用はカッコいい人が遣うんだよ」


「カッコいいから良いんだよ。
 まあ一応、考えとくからさ。
 とうもろこし頑張って〜」


カイ君はそそくさとサーフボードを持って海へ逃げる。

俺、とうもろこし、かれこれ6時間焼いてるんですけど…。

客とか、逆ナンしに来るだけでとうもろこし全然買ってくれないし…。
こんなに暑い中、一生懸命、働いてんのにバイト代しょぼそう…。
割に合わない。カイ君にお小遣いも貰わないければ…。


「すみませーん」


「はい!いらっしゃいませ!
 おいくつですか?」


「21」


「はい!21本ですねー……え?」


「え?あっ!とうもろこしの数かあ!」



俺はとうもろこしから
お客の彼女をパッと見た。