無機質なアルコールや薬品の匂いが漂う。
白く長い廊下を白衣を着たロボット達が往復する。

大丈夫?
私やっていける?
こんな…色のない世界で。

いきなりだけど二週間昔にさかのぼる。私の通っているのは総合病院の中の精神科。
通い始めて二年経つけど、薬が増えていくだけで光は見えなかった。
そう思い始めた頃だった。
突然主治医に「デイケア」に通わないかと提案された。
私は「デイケア」というものが何なのか分からなかったけど、
「はい、お願いします。」
と承諾した。
家に帰ってインターネットで「デイケア」を検索した。
デイケア…精神障害者が心のリハビリをする所。簡単に言うとそこで色々なプログラムを通して社会復帰するというもの。
でも、私は「障害者」というレッテルをはられるようで正直躊躇したんだ。
まあ…何もしないよりマシかあ…。

体験利用というものがあって、デイケアを体験させてもらえるということで大きな部屋に通された。
な…何?
大勢の人が私をじろじろと見る。
私の女性担当スタッフ、川瀬さんがついててくれて、言った。
「デイケアのメンバーさんよ。」
この人達が…私はなんだか圧倒された。案内された席に座った。