上原翔太が花恋を好きなのは知っていた。
休み時間、私が上原翔太を見ると、上原翔太は花恋を見てた。
でも、花恋は上原翔太を好きじゃない。
届かなくていい。
私は見てるだけで良かった。
上原翔太だって、花恋を見てるだけで良かったはず。
それが、付き合うことになった。
思ってもいなかった。
花恋を好きなだけでいいじゃない。
付き合う必要なんてない。
両思いじゃないんだから。
でも、案外上原翔太といる花恋は楽しそうだった。
もしかしたら、2人が両思いになるのはそう遠くないのかもしれない。
だとしたら、応援するのは当然。
だけど―――………って、こんな気持ちどっか行っちゃえばいいのに。
私が……上原翔太を……好き、だなんて……。
でも、絶対に隠し通さなければ。
いつも自分の気持ちを抑えて生きてきた私。
“好き”の気持ちなんて簡単に消せる。
…なんて、そんなことできない。
なんで?
気づかないうちに大きく膨らんだ気持ち。
でも、あと少し、…あと少し、膨らんだら……風船みたいにパーンと割れて、無くなるかもしれない。