「おい!」


椿が俺を呼び止める。


俺と皆川凜との距離は約15センチほど。


「うわっっ」


俺はビックリして後ずさりする。


皆川凜は、戸惑ったように眉をしかめる。


「誰ですか?」


「あ…桐谷昂…デス?」

なぜか疑問系になってしまった。


「あ〜……困ります」


「ごめんっ…本当にごめんっ……でも…小さく泣いてる顔とか…みたら、思わず……」


「思わず?」


「ヒドいよね。わかってる」


女にこんなに謝るなんて初めてだけど、プライドなんて捨ててやる。