彼が振り向いた

「梶さんっ」

彼はいつも部屋にいるときとは
全く別人のような顔をしていた

かっこいい顔を隠すように伸ばされた髪は
だらしなく下ろしてあった

「る、ルカさん?」

彼女は目的を忘れてしまったかのように
彼のもとに走った

桜田をおいて


自分の学校では
廊下を走るなんてことしたことのない
優等生なのに

彼のもとに一目散だった