「先生?」

彼女はなかなかその場を動かない桜田の顔を覗いた

「用事はそのことでしたか?」

桜田は少し恥ずかしくなった。
自分が教師という立場を忘れて、私情を先にしてしまったことを。

「あのな、文化祭の広告刷り終わったか?」

「ええ。昨日までにとのことでしたので。」

「ありがとな。でな、隣の橘高校に広告、おいてもらえることになったんだ。」

「ほんとうですか!!?」

彼女はすごく嬉しそうな表情をした

「これでもっと盛り上がる学祭になりそうですね!」

「そうだな」

桜田は目を細めた

「今日な、橘高校に広告運ぶんだけど。あれだ、やっぱ生徒の学祭だろ?」

照れたように、まるでデートに誘うように…

「生徒代表ってことで、藤宮にもつきてきてほしいんだけど」


桜田は真っ赤だった