私は夜が嫌いだった

ひとりの夜は
いろんな傷を思い出すから


『お邪魔します』

遠慮がちにリョウが部屋に入った

私はリョウにコーヒー、自分にココアを入れて
ソファに座った

『何で俺の事部屋に入れるの?』

『なんとなく。でも帰ると思ってたけど』

『試したんでしょ、俺が枕ホストじゃないかって』

『それもあるけど。私、ひとりの夜が嫌いだから。もう少しそばにいて欲しかっただけ』

『俺枕しないし。今日誘ったのは単純に会いたかったから。』

『そう』

『…綾ちゃんて、笑ってるのに
なんか泣いてるみたいだよな。』

リョウがポツリと言った

それから私の手を取って冷たいなあ
と笑った

リョウの笑った顔だって泣いてるみたいだよ

心の中で呟いた


私達が似た者同士じゃなかったら

もっと素直になれたのかな