『綾達さ、一緒に住んじゃえばいいのに』

さやかが言った

『それは、出来ないよ。そこまでの気持ちがあるのか、私自信ない』

…そこまでの気持ち


私は愛とか永遠だとか
信じていない人間だった

人の気持ちは変わるものだし、誰かに依存するなんて
馬鹿げた事だと思ってた

リョウの事は好きだけど、どこかで冷めている自分もいた


きっと彼も同じだったと思う



リョウには母親がいなかった

私には父親がいなかった
同じ理由で


よくある話だけど
私は母親を裏切った父親が許せなかったし

きっとリョウも同じだった


私達はお互いを必要としながらも

どこかで冷めた感情を持っていたんだと思う



笑っていても悲しかった

言葉なんて価値が無いものだと思っていた