「こんなもんですかね」

ようやく島津さんはブラシを置いて、
けれど今度は手ぐしで触り続けている。

そして、この触り方は、
彼がアンナにしているのと同じじゃないか
そう思ったので、されるがままだ。


「………………」

「………………」


「………………」

「………………」


「………………」

「………………」



あれ?

ベッドからどうしても漂ってくる
強い臭いで気づかなかったけど、
適量だけだとやっぱりいい匂いだ。

この間のアンナと同じ匂いがする!

その事に気づいた俺は、
見えない力に引き寄せられるように、
島津さんの襟元にふらふらと顔を寄せた。

「え、何ですか?!」

驚いた彼は、俺の髪をぐしゃっとした。
そしてその所為で俺の頭が引っ張られ、
思わず彼の首に頭突きをかましてしまった


「あ、すみません。
 ……大丈夫ですか?」

そのまま島津さんの上に乗っかるように
2人して倒れこんでしまった。
それでも髪から手が離れない。

あれ、まだ絡んでるとかじゃないよね?