アンナの美しい座り姿を
うっとりと眺めていると、
お兄さんが言った。

「あ、広人君もアンナと並んで食べる?」

並んで。
それはつまり隣で!

「はい!」

いい返事だねーとまた彼は笑いながら
隣にも皿を置いた。


「アンナ、よし!」

彼の号令でアンナはクッキーを食べ始めた
じゃあ俺も……

「いただきます」

頭を床に向かって下げた時だった。



「ドMか!何プレイだよ!」

「痛いです、島津さん!」

着替えを終えてリビングまで降りてきた
島津さんの足が、俺の背中にヒットした。

「っていうかプレイじゃないです!
 アンナと一緒に食べたかっただけです!
 Mでも決してないです!」

変な誤解はしないでほしい。

「だったらアンナを
 ソファーに座らせろよ!
 いっつもそうしてるだろ?!」

あ、そういやそうだ。

っていうかよく考えると
明らかにおかしいじゃないか!
うわ、俺恥ずかしい!

「穴があったら入りたいです!」

いやーと顔を隠して床を転がっていると、
食べ終えたアンナが、
ちょっと悲しげに俺の手を舐めた。
自分に原因があるのかな?と思っていそう

「アンナの慰めリターンズ!
 ありがとう!アンナ!
 今の俺の恥ずかしさは
 君の魅力に惑わされた俺の所為さ!
 だから君はまったく悪くないよ!
 悪いのは全部俺さ!」

「いや、どう考えてもコイツだろ?!」

そう言って島津さんは
お兄さんを蹴りつけている。

しかしお兄さんは笑い続けている。
それに何だか嬉しそうだ……。