コンコン
「失礼しますー」
相手は寝ているらしいけれど
一応ノックをして入る。
「……あれ、普通?」
部屋に入ったけれど、
特に変わった事はないように思う。
もしかすると、
めちゃくちゃ寝起きが悪いとかなのか?
「島津さーん、朝です、よ……」
彼の寝ているベッドに近づくと、
ようやく異変に気が付いた。
「何これ!どうしたの?!
島津さん、マジでこれヤバいですよ、
平気なんですか?!」
アンナが嫌がる理由が解った。
めちゃくちゃ臭い。香水臭い。
そういや、数日前の彼女は
うっすらといい匂いがしていた。
あの匂いを濃くすれば、
この臭いになるかもしれない。
しかしどうしてこの惨状!
ってかよく寝ていられるな……馴れか?
きっと、アンナは一晩は耐えたんだろう。
「頑張ったね!俺だったら即退場だよ!
そしてちょっとの移り香でよかったね!
でも例え君がどんなに強い香りを
纏っても、俺は君を愛せるからね!
安心してくれよ!
……あ、でもちょっと気が遠く……」
「……何でいるんですか?」
ようやく、島津さんは目覚めたらしい。
「あ、おはようございます。
でも俺はもうだめです。無理。
……アンナ、君はいつでも美しいね
やっぱり大丈夫だから、
だからそんな顔をしないでくれ!」
「アンナ居ないですから!
しっかりしろよ!」