【9.俺には彼女がいるけれど】


島津さんに、一目ぼれされていたとは……


ふと、向かい側のソファーに座る
お姉さんに目を移すと……

「言ったー!勢いで言ったー!」

爆笑していた。

でも、その気持ち、解らなくもないです!

勢いで暴露しまくってしまった弟。
俺も彼女の立場なら笑ってしまいそうだ。

そして当の本人の島津さんは、
何か後悔尽くしと言った表情だ。

その気持ちも解りますけどね!


俺は今、どうするべきなんだろう。

悩んでいると、
爆笑したままでお姉さんが言った。

「告白しちゃえよ!」

「したも同然だろ!あー、もー!」


「付き合ってくださいって言っちゃえ!」

「何でだよ!無理だろ!?」

俺は置いてきぼりで会話が続けられる。


「いやいや、解らんよ?
 金髪にしますから付き合ってください!
 とかさ、言ってみなよ!」

「それでどうにかなるかよ!」

「どうする?どうする広人君?!」

完璧に、お姉さんは楽しんでいる。


「え、えーと……」


「ほら、自分で言ってみな?!」

「何で言わなきゃいけないんだよ!」

「お姉さまの言う事は絶対でしょ?!」


何やら、この姉弟は
力関係がはっきりしているみたいだ。


そんな事を考えていると、
島津さんが仕方なくといったように
俺の前に来て、口を開いた。

「金髪にしたら、付き合ってくれますか?
 ……そんな訳ねーよ!まずねーよ!」

ノリツッコミみたいだ。

あー!もー!嫌だ!と、
頭を振っている島津さん。

ぶつかる!危ない!と思わず手を伸ばす。