「よお、友彦(ともひこ)!」
彼は俺の友人で、名前を友彦という。
苗字は……覚えていないけどまあいいや。
「おはよう。で、誰?」
友彦は昔事故に遭い、
前向なんとかっていう、新しい事が
まったく憶えられない状態にあるらしい。
だから俺の事も記憶にないけれど、
付き合いやすい奴なので、
よく遊んだり家にお邪魔したりしている。
小学校高学年辺りからの仲なので、
一応幼馴染って言ってもいいのかなと思う
「磯上 広人くんだよ!」
そう答えると、彼は携帯を取り出した。
彼の携帯はアドレス帳とメモ機能を駆使し
見事に彼の海馬の代わりを果たしている。
「……ああ、うん解った。
俺に恋人居るのを隠していた
その広人くんだねこの野郎!」
「その広人くんだよ!」
いらない事も、メモしてるらしい。