思い切り玲衣の舌を噛んだ。
その衝撃で抱き締められていた腕が解け、すっかり腰の抜けていた岬は壁に寄りかかる。
『…ッは…出て行って…くれないか』
氷「…椎名…っ」
『君とは…少し関わりたくない…』
肩を上下しながら、涙をひとつ流す。
そして動かし辛い体を動かし、玲衣に背を向けた。
玲衣は岬の様子を見て立ち上がり、話しかける。
氷「俺はお前が好きだ
岬ではなく、お前が
ずっとずっと、好きだったんだよ
あの時守れなくてごめん
傍にいれなくてごめん
お前は俺を信じてくれたのに…
いまさら、になるけど…ごめん
だから俺はお前に会いたい
岬ではなく、お前に
好きだ、由姫菜」
それだけ吐き捨て、玲衣は保健室から出て行った。
岬…、いや、由姫菜は溢れる涙を止めることができなかった。
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