『どうせ、中では僕の話をしているのでしょう??
予想はできてました。昨日あんなことが起こったばかりだし…
それに僕は…
貴方と話がしたかった』
壱「俺…と??」
岬はクスクスという笑い声を止め、真剣な顔で恭二を見つめる。その視線に、一度息を飲んだ。
『貴方は、優しい。
本当に優しい。
貴方の心は、優しすぎるくらい優しい。
そんな優しすぎる貴方のコンプレックス…僕はわかります』
壱「…」
『"注目もされない、何もできていない
同じレギュラーにいながら
自分と彼らには越えられない壁がある。
そんな僕が、彼等の仲間でいいのか"』
壱「!!」
岬の言ってることは全て的を得ていた。
対して強い戦力があるわけでもない。
何か試合でやっても注目されるわけではない。
いつだって、秋本、氷狩、穂波、若槻。
彼等が注目を浴びている。
頑張っても、報われない気がした。
この学校のサッカー部であること、レギュラーであること。それは夢なのではないかと思った。
彼らは自分達とは違う、と言い聞かせ、言い聞かせ。
羨み。
でも心の何処か奥底では、彼等のことを妬んでいた。
.