「…お前、さ。」 それは本当に、何気ない仕草だった。 考え事をする時の癖なのか知らないけど、先生は違和感なく手のひらを自分の顎に持っていって。 支えるように顎を捉えたのは、先生の長くて綺麗な指。 その薬指には、確かにキラリと光るものを感じたんだ。 『……。』 彼女さんが、いるんだ。 自己紹介の時、結婚はしてないと言っていたから、結婚指輪ではないはずだから。 きっと、彼女さんとのペアリング。