パタパタと真っ直ぐと消えていった背中を、見えなくなるまで見つめていた。



…あぁ、綺麗だ。
なんて美しいんだろう。


美優の背中は、いつの間にか、こんなにも力強いものになっていたんだ。



『……美優。』



なんとも言えない濁りのようなものが、心を覆っていく。



行かないでくれ。
消えないでくれ。



そんな風に刹那に思うけど、俺にはそんなことを、言える権利はない。



―…俺には、守るべきものがあるから。