だけど、足が怖くて竦んでしまうの。
これが最後なんだと。
もう会えないのだと。
後悔なんか、したくないのに。
理恵さんの元に消えてしまう先生の後ろ姿を、私は見たくないんだ。
「――俺は、先生に会いに行ってほしい。」
『……っ』
だからこそ、爽くんの言葉は唐突で、胸に響いた。
爽くんの目が、いつもにないぐらい真っ直ぐ伸びていて。
いつも相手を尊重する爽くんが、初めてブレずに自分の気持ちを主張した瞬間。
「…そうじゃなきゃ美優は、ずっと過去の先生に恋してしまうと思うから。」
……あぁ、そっか。
誰かのために前に進む強さも、時には必要だね。