…でも、一生忘れられなくてもいいかもしれない。 そう思った、矢先だった。 「…美優……?」 聞こえてきたのは、先生でも理恵さんでも、先生のお兄さんの声でもない。 ――大好きだった、あの人の声。 『……?』 ゆっくりと、先生に委ねていた、身体を起こす。 耳に馴染んでいるその声に、なんとなく違和感を感じて。 それでいて、なんとなくわかっていた。 『…佑くん……。』 ―…あぁ、そっか、先生。 そういうこと、だったんだね?