「…理恵は、俺が兄貴の“弟”だから、俺と付き合ったんだろうなぁ…。」




先生は、わかっていた。


理恵さんが、兄貴への想いが報われないことを知っていて。

それでいて代わりに、自分の元へやってきたということ。


兄貴の、代わりだったこと。



それでも、いいから。

それでもいいと思ってしまうぐらい、先生は理恵さんのことが好きだったんだ。



「美優…。」



大丈夫だよ、と、口ずさむように。

先生は優しく、私の背中をさすってくれる。