「本当に、好きな人はいない。」 先生はここにきて尚、そんなことを言い張る。 その言葉が、信じられない。 先生の全てが、嘘だと思う。 『じゃあ、なんで結婚なんてするのよ…!』 だったら、結婚なんてしないでよ。 私と一緒にいてよ。 一生私の、そばにいて。 「……美優。」 何回も私の名前を呼んでいく中で、一番苦しそうな声だった。 「好きな人は、いないよ。」 『……。』 「そして、相手も俺を好きじゃない。」