―――…私ね。


梨花のせいで自分が自分でいられないと、思っていたの。



愛想笑いしかできない自分が嫌で。

嫌われないためなら平気で嘘をつける自分が、醜くて。



私、梨花のせいで自分が嫌いになったと思っていた。




『……あっ!』



……ふいに。


視界の隅にいた梨花と、視線が絡みあう。



その視線は、若干私を睨んでいるようにも感じられたけど。

それでも、不思議と前ほど嫌な感じはしなかった。