壊したくなんか、なかった。


先生の隣は、初めて私が私でいれる“居場所”だったから。



私は今更、言わなきゃよかったと後悔したの。




「……それだけ?」





だからこそ、長い沈黙の後の先生の言葉は、予想外のもの。




『えっ……?』




思ったよりも棘がない声に、口調に、声色に。

私のさっきまでの思考が、拡散する。



重々しいものを予想していた私にとっては、意外すぎるこの光景。